社会起業研究
Online ISSN : 2436-3456
コレクティブ・インパクトは日本の地域コミュニティ創造に導入できるのか
藤川 遼介
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 3 巻 p. 37-58

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抄録

本論文の研究目的は、日本における地方部に最適なコミュニティ創造の手法を整理するための考察である。

研究背景は、オンライン環境の社会浸透が急速に進んだものの、東京一極集中の是正に向けて、地方部の様々な課題を解決していくためのコミュニティ創造の手法整理が必要だといえるからである。

研究方法は、事例調査として、筆者の地域活動を基盤としたアクションリサーチ型で行う。題材は、筆者が地域活動を通して制作したインタビュー動画を元に事例考察を行う。

先行研究として、コミュニティ創造の手法整理として、「コレクティブ・インパクト」と日本のコミュニティ創造の先行事例である「TN法」と「地域デザイン 7Step」の比較を参考にする。

研究の結果、日本における「コレクティブ・インパクト」の5つの要素は、共通のアジェンダ、評価システムの共有、互いに強化し合う活動、継続的なコミュニケーションという4つの要素は当てはまった。活動を支えるバックボーン組織という要素は、バックボーン組織は必要であるものの日本におけるバックボーン組織は第三者機関に任せるのではなく、日本の伝統国民性を考慮し、一定の距離を保った関係者が担うことが望ましいであろうという結論に至った。また、「TN法」と「地域デザイン 7Step」は、「コレクティブ・インパクト」の整理手法と類似していることが多く、実践するために有効的な整理手法といえる。

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© 2023 相模女子大学専門職大学院社会企業研究科
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