2017 年 51 巻 2 号 p. 142-146
粒子径がサブミクロン領域にある顔料微粒子は, 透明感, 光沢感, および紫外線遮蔽能などの光学的特性に優れ, 化粧品素材として汎用されてきた。しかしながら, 微粒子化に伴い表面エネルギーが高くなるため, 粒子相互の付着性, 凝集性が高くなり, 分散の不均一化に伴う機能低下を生じる場合がある。これまで, 分散性の向上のため, 粒子の表面処理や形状の制御など, 素材レベルでの改良は盛んに行われている反面, 機械的な処理の効果についてはあまり検討されていない。本研究では, 薄膜旋回型ミキサーを用いて, 高速攪拌による微粒子酸化チタンの分散性変化と, 分散系に対する入射光の減衰, 散乱挙動との相関について検討した。その結果, 顔料微粒子が分散した散乱吸収性媒体の場合, 高速攪拌により高度に均一分散することによって, その光学物性パラメータが変化する現象が認められたので報告する。