日本化粧品技術者会誌
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溶媒特性を利用したヘアマニュキュア用新規リムーバーの開発
鎌田 勉石川 洋子岩崎 信博
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2003 年 37 巻 3 号 p. 213-217

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抄録

ヘアマニュキュアを使用する際に頻繁に起こる皮膚染色が問題視されている。原因としては, 酸性染料による皮膚染色を完全に, そして簡単に除去する技術が確立されていないためである。西澤らは, 皮膚につきにくいヘアマニュキュア剤の開発について報告を行っているが, リムーバーの機能自体へのニーズは依然として高い。そこで, 皮膚からの酸性染料を容易に除去するために, 「皮膚からの溶出」そして「皮膚への浸透性」を指標として, リムーバーに適する溶剤, 活性剤等の検討を行った。「皮膚からの溶出」については乾燥豚皮からのヘアマニュキュアの溶出を指標に検討を進めた。その結果, 溶剤においてはイオン化と溶出に優れる炭酸プロピレンの選定に至った。活性剤においてはヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが検討活性剤の中で最も高い溶出性を示したが, 安全性を考慮してノニオンであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を選定した。pHにおいてはアルカリ側で溶出能が高い結果であった。「皮膚への浸透」においては, イオン化に優れる炭酸プロピレンは単独では皮膚への浸透性が悪いが, アルコール共存下において浸透性が飛躍的に向上した。これらの結果より, 安全性をキーワードに処方化を試みた。溶剤は炭酸プロピレン, 活性剤はノニオンであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油, pHは中性域である。豚皮からの溶出, また実際の人の腕での評価で, 従来のリムーバーよりすばやく落とせ, なおかつ安全性に優れたリムーバーの開発に至った。

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