背景:2020年,全世界で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため“自粛生活”を強いられ,劇的な生活習慣の変化が生じた.一方で,歯科診療によるCOVID-19の感染を危惧する報道により,歯科の受診控えが懸念されている. われわれは,生活習慣の変化とCOVID-19による歯科診療の不安による歯科受診への影響を明らかにすることを目的にアンケート調査を行った. 方法:2020年10月から2020年12月の間に,ある地方都市の一般歯科医院のSPT患者に対してアンケート調査を行った.質問は,GOHAI,K6,生活習慣,健康状態,口腔の自覚症状,および歯科受診への不安について尋ねた. 結果:372名(平均年齢55.38歳,女性257名・男性115名)から回答を得た.歯科医院での感染が不安である者は20.2%,報道によって歯科診療に不安に感じた者が13.4%であった.歯科医院で感染に不安を抱く者は,不安でない者に比べ有意に口腔関連QOLが低く,うつ傾向でもあった. 考察・まとめ:歯科診療に不安を抱く者は口腔関連QOLが低い傾向があり,むしろ歯科医院の受診が必要な可能性が考えられた.