2019 年 20 巻 1 号 p. 29-32
人工知能IBM Watson®を使用したテキストマイニングにより,ふじわら歯科医院の歯科衛生士診療記録と当該患者の抜歯経験ある・なしの関連性について分析した.テキストマイニングとは,自由に書かれた文章を単語に分割し,それらの出現頻度や特定項目との相関関係を計算する分析法である.その結果,2016年1月から2018年6月までの患者数1498名,9725回の診療記録において,期間中抜歯した患者147名の診療記録で頻繁に使用された単語は,抜歯の原因を連想させる「破」「排」「膿」や抜歯後の補綴治療に関係する「義歯」「印象」といった言葉であることがわかった.一方,抜歯しなかった患者1351名の診療記録は「フロス」「初期」「歯石」「プラーク」等,口腔衛生に関係する言葉が高頻度に使われていた.これらの結果をどう臨床に応用するかは今後の課題だが,人間の洞察力とは異なる観点からデータを解析できるため,歯科臨床でも将来の有用性が示唆された.