日本ヘルスケア歯科学会誌
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原著
初診患者の解析による幼児2〜3歳と4〜5歳のう蝕関連要因の差異についての調査
藤原 夏樹
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 20 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

この調査の目的は,歯科医院を初診に来院した幼児のうち,2〜3歳児と4〜5歳児のう蝕関連要因の違いを明らかにすることである.調査対象は,2016年4月から2019年3月にふじわら歯科医院に初診で受診した2〜5歳の患者134名(男児68名,女児66名),調査方法は,初診日の診療データを用いて対象者全体および2〜3歳児(61名)と4〜5歳児(73名)の各グループのう蝕関連要因,とくに2〜3歳児と4〜5歳児の生活習慣要因の差について解析した.Fisherの正確検定の結果,う蝕有無と有意(p<0.05)な関連性のある要因は,全対象者が「性別」「甘い菓子の常食」,4〜5歳児が「性別」「歯磨剤の使用」「甘い菓子の常食」だった.2〜3歳児は有意な要因はなかった.ロジスティック回帰分析の結果,有意(p < 0.05)な関連要因をオッズ比の順に挙げると,全対象者は「甘い菓子の常食」「性別」,2〜3歳児は「性別」,4〜5歳児は「甘い菓子の常食」「歯磨剤の使用」「性別」だった.本調査の結果,「歯磨剤使用」や「甘い菓子の常食」のような家庭生活に関する要因について,2〜3歳児はう蝕との関連性が認められなかったが,4〜5歳児では有意に関連していたことがわかった.年長になるほど,う蝕予防のためには生活習慣の改善が重要となることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会

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