2023 年 33 巻 2 号 p. 219-225
免疫チェックポイント阻害薬投与後にまれな免疫関連有害事象である気管軟骨炎を発症し,治療に苦慮した症例を経験した。症例は66歳の男性,主訴は発熱,咳嗽,喀痰,全身倦怠感であった。右梨状陥凹癌に対する放射線化学療法と手術の後にリンパ節再発を認めた。救済治療としてニボルマブを54週,23クール投与後に本症を発症した。CRP上昇と気管気管支壁肥厚による内腔狭窄を認めた。高用量ステロイド治療にて一旦は改善したが,ステロイドを漸減すると再燃し,メトトレキサートを併用しても病勢は沈静化しなかった。マトリックスメタロプロテナーゼ3が上昇してきたためトシリズマブ,コルヒチンを追加し,寛解を得ることができた。