頭頸部外科
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症例
局所麻酔下で喉頭中央部切除術を施行した重度嚥下障害の1例
倉持 篤史二藤 隆春佐藤 拓後藤 多嘉緒上羽 瑠美山岨 達也
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2019 年 29 巻 2 号 p. 209-214

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抄録

症例は89歳女性。肺炎によるCO2ナルコーシスに対し前医で気管切開術が行われ,術後も誤嚥性肺炎を反復した。摂食希望により当院に転院。嚥下造影検査で食道入口部が開大せず,喉頭の枠組みを残す誤嚥防止手術では術後の経口摂取が困難と推測した。夜間の人工呼吸器管理,CO2貯留,超高齢という背景から,関係科と協議し,ペンタゾシンとヒドロキシジン塩酸塩の静脈投与下での喉頭中央部切除術を選択した。術中より低侵襲な声門閉鎖術や喉頭気管分離術に変更する可能性も考慮しつつ手術操作を進め,最終的に遂行可能であった。術後は合併症なく経過し経口摂取が可能となった。全身状態不良例では局所麻酔下での喉頭中央部切除術も選択肢となり得る。

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© 2019 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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