3つの耳小骨にあわせた耳小骨多断面再構成(MPR)画像は耳小骨の病変評価に有用であり,伝音再建術式を予測し,術後の聴力を推測するためにも有用である。また,耳小骨MPR画像は,真珠腫などの軟部陰影と耳小骨の骨陰影が混在する中耳において,軟部陰影と骨陰影両者を評価し,耳小骨の状態を把握するときに極めて有効で効率的な方法である。さらに,耳硬化症の診断においても日本人に多い軽度で微細な病変を検出するには,特にアブミMPR画像が有用である。鼓室形成術のためにも有用である耳小骨MPR画像について,その具体的な有効性と放射線技師にルーチーンで作成してもらうための撮像方法のポイントを解説する。