2013 年 23 巻 3 号 p. 435-443
頭頸部領域はその解剖学的位置から口腔・咽頭領域の手術操作によって術後合併症として頸部と口腔・咽頭腔の間が繋がり瘻孔を認めることがある。瘻孔を形成すると,唾液の暴露による創部感染を繰り返し治療に長期間要することも少なくない。今回,頭頸部領域の術後に陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy: NPWT)を使用した症例を経験した。いずれの症例も陰圧負荷が可能であり,感染の悪化なく瘻孔の閉鎖が可能であった。NPWTは,処置回数の軽減・皮膚炎の軽減によるQOLの改善につながり,頭頸部領域の術後の合併症においても適応を慎重に行えば有用な治療選択肢になると考えられた。