2009 年 19 巻 2 号 p. 79-83
当院では中咽頭癌における初回治療としての化学放射線療法(chemoradiotherapy:CRT)の適応を,切除不能症例,術後機能障害が大きいと予測される症例,N3や多発頸部転移などで術後CRTが必要となるような症例としてきた。2002年~2006年に根治治療した中咽頭癌70例中,病期III,IVのCRT例は32例であった。うち切除可能14例と切除不能18例では,それぞれ疾患特異的3生率90%,21%,ルビエール転移率0%,72%であった。ゆえに切除可能症例の中で術後機能障害,再発ハイリスクの頸部転移があるなどにより手術に不向きと考えられる症例ではCRTは根治を目指すよい手段となりうると考えられた。また切除可否の判断やルビエールリンパ節転移が予後の予測に重要であることが再認識された。