心電図
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症例
メイズ手術後,僧帽弁輪旋回心房頻拍の根治に冠静脈洞からの通電を要した1例
加藤 真史内田 文也西村 善幸後藤 貢士内藤 滋人西川 英郎
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2015 年 34 巻 4 号 p. 390-401

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抄録

症例は68歳,男性.約10年前に他院で,心房細動(AF)に対する高周波カテーテルアブレーションの既往が2回ある.2010年2月に重症僧帽弁閉鎖不全症とAFによる心不全を発症し当院入院,同年5月に当院心臓血管外科で僧帽弁置換術(機械弁)+メイズ手術(冷凍凝固)が施行された.以後,アミオダロン内服下に洞調律を維持していたが,2011年1月にアミオダロンを中止したところ,2ヵ月後に210bpmの心房頻拍(AT)を発症し,同年4月に高周波カテーテルアブレーションを行った.4本とも遅延した左房-肺静脈間の伝導再開を認めたため,まずは,同側両肺静脈拡大隔離術を実施した.その後,冠静脈洞からの頻回刺激で僧帽弁輪を時計方向に旋回するAT(周期320msec)が容易に誘発され,臨床的にとらえられたATと同一であった.左房心内膜側から左下肺静脈-僧帽弁輪間峡部へのブロックライン作成を試みたが心房内興奮順序に変化なく,AT周期が延長した.心内膜アプローチでは貫壁性アブレーション困難と考え,冠静脈洞側から通電を行ったところ,ATが停止した.最終成功通電部位は左下肺静脈-僧帽弁輪間峡部の心外膜側であり,左下肺静脈-僧帽弁輪間峡部のブロックライン形成に冠静脈洞からのアプローチが有用と考えられた.

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© 2015 一般社団法人日本不整脈心電学会
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