K+チャネル開口薬は虚血前あるいは虚血早期の投与により心筋梗塞を顕著に抑制する.K+チャネル開口薬の心筋梗塞抑制効果は, 細胞膜KATP (sarcKATP) チャネルの特異的阻害剤HMR1098により部分的に, またミトコンドリアKATP (mitoKATP) チャネルの阻害剤である5-hydroxydecanoateにより完全に阻害されることから, mitoKATPチャネルの活性化が心筋保護には重要と考えられるが, sarcKATPチャネルとmitoKATPチャネルの関与との関連についてはいまだ不明である, MitoKATPチャネル開口が虚血再灌流による心筋細胞壊死を抑制する機序として, ミトコンドリアCa2+過負荷の軽減とともにpermeability transition poreの開口閾値を上昇させることの重要性を支持する成績が多い.さらに, mitoKATPチャネル開口がERK1/2活性化を介して虚血心筋におけるギヤップ結合透過性を低下させ, 虚血再灌流領域における心筋細胞障害の伝播を抑制することもK+チャネル開口薬の心筋梗塞抑制効果に寄与していると考えられる.