心電図
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I群抗不整脈薬による発作性心房細動治療中の心房粗動について―短報―
伊藤 敦彦羽田 勝征高橋 尚彦犀川 哲典山下 武志安喰 恒輔速水 紀幸稲葉 秀子浅田 健一村川 裕二
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2002 年 22 巻 6 号 p. 640-644

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抄録

心房細動を有する患者ではしばしば心房粗動 (AFL) を合併する, 発作性心房細動 (PAF) の薬物治療において, Ic群薬は他のI群薬に比べAFLの出現率が高いか否かを検討した.重篤な器質的心疾患や心機能低下を欠く患者179人 (平均年齢58±11歳) の薬物治療中19人にAFLが認められた, 性別, 年齢, 左房径, あるいはβ遮断薬やカルシウム拮抗薬の併用はAFLが記録される割合と関連はなかった.Ia, b群薬とIc群薬では統計的には有意ではないが, 後者の投与中に多くのAFLが記録された (8%対15%) , 投薬前にすでにAFLが記録されている症例で治療中にAFLを認める頻度は52% (12/23) と高く, AFLの既往がない患者での4% (7/156) を大きく上回っていた (p<0.0001) .また, AFL既往例に限れば, Ic群薬投与中はIa, b群薬投与中よりAFLを認める症例が多かった (36%対78%) .以上より, PAF治療中のAFLの出現には治療前のAFLの既往が大きな要因であるが, Ic群薬投与中により多くの症例でAFLが出現する傾向があった.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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