2001 年 21 巻 1 号 p. 31-39
ウエーブレツト変換法を用い, QRS波高周波微小成分の1拍ごとの解析を試み, その精度を加算平均心電図法と比較した, 健常人50名, 心室期外収縮患者100名 (LP陽性例50名, 陰性例50名) の体表心電図から任意の正常洞調律1心拍を選び, QRS波をウエーブレツト変換, 周波数・時間・パワーの3次元で色別表示した.周波数50Hzおよび100Hzにおける高パワー領域持続時間 (WD50, WD100) を測定し, SAEより求めたf-QRSとの相関を調べた, その結果, 連続する3心拍の誤差率, ノイズはわずかで, 200回加算データの解析結果と相似しており, 本解析の再現性が示された.WD50はf-QRSと相関を認め, LP陽性例では内部の波形が不均一でWD50が有意に延長していた.またWD50異常延長は持続性心室頻拍発生に対してLPをも凌ぐ高い感度・特異度・予測精度を示した, これらから本法は心電図微小成分のダイナミツクな変化の解析に応用可能であると考えられた.