心電図
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抗頻拍ペーシング治療を想定したブロック周期長の意義とI群抗不整脈薬投与による修飾
大平 晃司相沢 義房池主 雅臣北沢 仁高橋 和義鷲塚 隆阿部 晃柴田 昭
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1996 年 16 巻 6 号 p. 706-714

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抄録

心室頻回刺激は持続性心室頻拍 (VT) を高率に停止させることができ, 抗頻拍ペーシング治療に重要な役割を果たしている.一方VT中に頻回刺激を加え, エントレインメント現象を確認しつつ, ペーシング周期長を順次短縮するとVTを停止させる最長の周期長であるブロック周期長が得られる.このブロック周期長はレートの増加や心室細動への移行を伴わずにVTを停止させうる最も安全なペーシング周期長と考えられる.抗頻拍ペーシングによるVTの停止を想定し, 1群抗不整脈薬によるブロック周期長のVT周期長に対する比率を検討し, 薬剤治療後のブロック周期長が予測できるかを検討した.9例における11回のVTでプロカインアミドおよびメキシレチン投与前後で同一波形のVTが誘発され, 頻回刺激にてブロック周期長が得られた.VT周期長及びブロック周期長はプロカインアミド, メキシレチン投与後いずれも有意に延長した.しかし, ブロック周期長のVT周期長に対する比率の変化は症例によって異なっており, 投薬後のブロック周期長は正確に予想することはできなかった.また比率を検討することにより開始時のペーシング周期長の選択 (平均80%) 及び過度に短いペーシング周期長 (約60%) の回避に役立つ可能性が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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