1992 年 12 巻 1 号 p. 88-95
カテーテル心筋焼灼術後の心室性不整脈の自然発生と電気刺激による心室頻拍の誘発に関して, 除細動器を用いた直流通電法 (n=10) と高周波通電法 (n=12) を対比させ実験的に検討した.焼灼後の心室性不整脈の発生率は, 直流通電法では9例 (90.0%) , 高周波通電法では4例 (33.3%) であり, 両者の間に有意差が認められ (p<0.05) , また心室頻拍が直流通電法では7例 (70.0%) で認められたのに対し, 高周波通電法では1例も認められなかった.なお, 今回使用した高周波 (500kHz) 通電中の心室性不整脈の出現率は10例 (83.3%) と比較的高率であった.
焼灼後の心室頻拍の誘発率に関して, 直流通電法では4例 (40.0%) に誘発され, このうち1例 (10.0%) は持続性心室頻拍を呈したのに対し, 高周波通電法では全例で誘発されなかった (p<0.05) .直流通電法と高周波通電法は, 焼灼後の心室性不整脈の発生と電気刺激による心室頻拍の誘発に関して明らかに異なることが示唆された.