1991 年 11 巻 3 号 p. 332-337
直流通電を用い, 房室結節~His束にcatheter ablationを施行し作成した完全房室ブロックの心室補充調律に対する自律神経の影響を検討するとともに, アセチルコリンによるノルエピネフリン遊離抑制作用が心室自動能に対し機能的に関与しているかを検討した.迷走神経刺激による心室補充調律時の心拍数の減少は星状神経節刺激時とノルエピネフリン注入時で有意差は認められないことより, 心室補充調律に対する迷走神経節刺激の抑制作用は交感神経末端からのノルエピネフリン遊離抑制作用を介するよりも受容器への直接作用が主であると考えられた.また, プロプラノロール投与後では迷走神経刺激にて心拍数が減少しないことより, 心室補充調律に対するアセチルコリンの作用はノルエピネフリンの作用に拮抗するものと推察した.