1990 年 10 巻 4 号 p. 397-406
顕在性WPW症候群5例, 潜在性WPW症候群2例の副伝導路順行性および逆行性の最大1: 1伝導能 (Max1: 1) と有効不応期 (ERP) に対するdisopyramide (Ia群抗不整脈薬) とmexiletine (Ib群抗不整脈薬) の単独および併用効果を検討した. (1) Disopyramideとmexiletineは単独でMax1: 1をほぼ同等に低下させ, ERPをほぼ同等に延長させた. (2) 単独投与群よりもそれぞれ低濃度のdisopyramideとmexiletineの併用で, Max1: 1は単独投与時に比べさらに有意に低下し, ERPも延長する傾向を認めた.以上から, disopyramide (Ia群) とmexiletine (Ib群) の併用により, 副伝導路伝導能は少なくとも相加的に低下する可能性が示唆され, 単剤で臨床効果が不十分な症例や, 副作用のため十分な使用が困難な症例で併用療法が有用と考えられた.