植物研究雑誌
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マレーシア・ボルネオ島産タイ植物門ヒシャクゴケ科の新種Diplophyllum kinabaluense
古木達郎M. Suleiman
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2016 年 91 巻 suppl 号 p. 340-344

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抄録

マレーシア・ボルネオ島において蘚苔類の分類学的な研究を進めている中で,タイ植物門ヒシャクゴケ科Scapaniaceae シロコオイゴケ属Diplophyllum に未記載種を見出し,分類学的な研究を行った.その結果,新種であるとの結論に達し, 新種としてDiplophyllum kinabaluense Furuki & M. Suleiman を記載したシロコオイゴケ属は主に世界の冷温帯に分布しており,これまで東南アジアからはD. nanum Herzog が知られているだけである.D. nanum Herzog は雌雄異株で葉が円頭であるが,本種は雌雄独立同株で葉が尖っていることから,両種は明らかに別種である.また,本種は植物体が小さいこと.葉の腹片の先端が尖ることや,背片の先端が外曲すること,葉縁が不規則な鈍鋸歯状であること,葉身細胞が厚壁でトリゴンが小さいこと,細胞の表面が乳頭状であること,花被が長いこと,花被の先端が鋸歯状であること,花被の細胞が厚壁であることなどの特徴があり,本属の他種から区別できる.

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© 2016 植物研究雑誌編集委員会
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