植物研究雑誌
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日本産サンショウソウ属の染色体数
兼本正鳴橋直弘
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2003 年 78 巻 5 号 p. 262-268

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抄録

日本産イラクサ科サンショウソウ属 Pellionia のオオサンショソウ P. radicans, サンショウソウ P. minima, キミズ P. scabra, キミズモドキ P. japonica, ナガバサンショウソウ P. yoshiei, アラゲサンショウソウ P. brevifolia の染色体数を初めて報告した. キミズモドキからは 2n = 52, ナガバサンショウソウとアラゲサンショウソウからは 2n = 39, サンショウソウとキミズからは 2n = 26, 39, 52, 65, オオサンショウソウからは 2n = 39, 52, 65が算定された.

 Melchior (1964) および Raven (1975) はイラクサ科の基本数として x = 12, 13および14を報告している. これまで報告されているサンショウソウ属の染色体数は 2n = 24, 2n = 26と52であることから, サンショウソウ属の基本数は x = 12, 13が考えられる. 今回観察された日本産のサンショウソウ属 6種からは 2n = 26, 39, 52, 65が算定されていることから日本産サンショウソウ属は x = 13を基本数としており,ナガバサンショウソウとアラゲサンショウソウは三倍体, キミズモドキは四倍体であり,キミズ, サンショウソウとオオサンショウソウには種内倍数性が認められ, それぞれキミズとサンショウソウには二倍体,三倍体, 四倍体, 五倍体, オオサンショウソウには三倍体, 四倍体, 五倍体が存在している.

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© 2003 植物研究雑誌編集委員会
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