日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
事例報告
歯科医師会における災害歯科保健医療体制の構築
大黒 英貴
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2024 年 29 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

平時の「生活を守り支える医療」を担う歯科医師の多くは、地域の歯科医師会に所属し、平常時から多職種と連携して地域包括ケアの一役を担っている。災害が発生すれば、自治体・歯学部と連携して、JDATを派遣し、多職種と連携しながら支援活動をおこなう。2011年に発生した東日本大震災における岩手県歯科医師会の対応は、平常時から連携協力していた関係職種と一緒になって、歯科所見による身元確認や避難所・高齢者施設などの被災者に対して、応急歯科治療や歯科技工士と協力して義歯の作製、歯科衛生士と協力して口腔衛生管理指導など歯科保健医療の提供を長期的におこなった。このように、日常から歯科専門職は、口腔内の感染症予防のみならず、口腔健康管理を通じて呼吸器感染症予防やオーラルフレイル予防にも関与しており、災害歯科支援活動はその延長線上にある。今後も養成校の人材育成と合わせて若手歯科医師会会員への周知は重要である。

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