学校改善研究紀要
Online ISSN : 2436-5009
互酬性規範の醸成による教員の職能開発における実践的研究
渦潮風土づくりの視点から
鈴木 咲喜子
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 6 巻 p. 166-176

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抄録

本研究の目的は,若手教員のICT活用能力とベテラン教員の実践的指導力を活かした校内研修を通して,教師間における互酬性規範の醸成する実践を提案することである。2022年度A市立B中学校の教職員37名(6月33名,11月23名)と生徒(9月407名,11月404名)への調査結果を基に実践した研修が教員同士の職能開発やつながり構築にどのような影響を与えたか,また教師の職能開発が生徒の学習意欲に及ぼす効果と課題について検討した。調査方法は,観察,インタビュー,質問紙である。調査結果から,職能開発に向けて,教員同士における互酬性規範が有効であること,生徒の学習意欲向上につながっている教員がいることが分かった。その一方で,分かる授業に向けてのICTの効果的な活用方法や互酬性規範の構築や研修実施に向けたファシリテーターの養成の課題が明らかになった。個の教員の自律性から,互酬性規範を活かした組織的な研修の渦を創り出し,学校組織全体の活性化につながる研修を提案する。

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© 2024 日本学校改善学会
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