人間工学
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原著論文
作業手順による統制がレジリエントな行動に及ぼす影響に関する実験的検討
寺尾 京芽狩川 大輔 高橋 信
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2024 年 60 巻 1 号 p. 22-34

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抄録

作業手順の追加による統制の強化は,複雑な産業システムにおける主要な安全性向上策の一つとなってきた.その一方で,過度な手順化がオペレータによる状況に応じたレジリエントな行動の妨げとなり,かえってリスクを高めることにつながる可能性が近年指摘されている.本研究では,作業手順による統制がレジリエントな行動に及ぼす影響の実験的検証を目的として,火災の消火指揮をモデルとしたタスクを用いて,達成すべき目標に加えて,作業手順を遵守義務のない参考指針として示したリファレンス群と,目標を強調した上で詳細な作業手順を課したルール群の2群の実験参加者群のタスクパフォーマンスを比較した.その結果,目標と作業手順が矛盾する状況を含むシナリオにおいてレジリエントな行動をとった回数は,ルール群のほうが有意に少なく,かつパフォーマンスも有意に低いことが示された.また,インタビューからも,作業手順が適合しない状況に対する注意深い監視という面でリファレンス群の優位性を示唆する結果が得られた.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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