2013 年 49 巻 5 号 p. 211-218
関節角度と性別の違いが関節モーメントと主観的負担感との関係に与える影響について検討した.被験者は男性5名と女性5名であり,肩関節屈曲と肘関節屈曲を対象とし,3水準の関節角度ごとに関節モーメント比(各被験者の最大値に対する相対値)の大きさを変化させて主観的負担感を計測した.関節モーメント比を説明変数,主観的負担感を目的変数とし,ロジスティック関数を近似モデルとして関節角度と性別ごとに近似関数を作成した.その結果,近似関数の平均誤差が5~10%であることを確認した.また,ロジスティック関数の最大感度と変曲点の位置を近似関数の特徴量と定義し,近似関数を分類するアルゴリズムを提案して関節角度と性別の違いが近似関数に与える影響を評価した.その結果,関節角度と性別による影響はわずかであり,関節モーメント比と主観的負担感との関係を定式化する上で関節角度と性別の影響は無視できると判断できる結果を得た.