人間工学
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縫製作業における高齢者の作業習熟と生体負担に関する研究
福田 康明平田 剛宏小川 倫史冨田 明美内藤 章江加藤 象二郎
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2006 年 42 巻 5 号 p. 320-328

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抄録

本研究では, 高齢者を対象に, カッターシャツ縫製工程の一部をモデル化したミシン縫製形態3種 (作業I: 直線縫い, 作業II: 曲線縫い, 作業III: 輪縫い) の習熟実験を行い, 作業習熟 (達成度Q) と生体負担の関係について若年者も含めて検討した. 結果を要約すると以下のようになる.
(1) 高齢者における生体負担を縫製形態ごとに測定した. その結果, 心拍, フリッカー値, 自覚症状しらべ, 主観評価, NASA-TLXにおいて, 作業難易が難度になるに伴い生体負担が増加する傾向がみられた.
(2) 総合負担Wについて検討すると, 各縫製形態ともに高齢者は若年者よりも大きな値となったが, 両者の差は作業Iでは55.4%, 作業IIでは48.6%, 作業IIIでは4.6%となり, 作業難易が難度になるに伴い差は小さくなる.
(3) 総合負担Wと達成度Qの関係から, 高齢者と若年者に対応した縫製形態ごとの総合負担指標を提示した. これによれば, 作業Iでは両者の達成度Qの範囲に大きな差異はないが, 総合負担Wは高齢者のほうが大きくなる. 作業II・作業IIIでは, 高齢者の達成度Qは小さく, 総合負担Wは大きくなる.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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