人間工学
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仮想迷路抜け課題を応用した上肢運動機能解析に関する考察
小柳 健一古荘 純次小田 邦彦
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2006 年 42 巻 5 号 p. 295-304

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抄録

要介護・要支援の高齢者の減少や積極的な社会参加のためには, 身体機能低下を早期に検知し, 機能の維持・回復に努める必要がある. しかし, 特に上肢運動の滑らかさや巧緻性等については, 従来の評価手法では定量的な解析が行えていない. これに対し, ロボットやバーチャルリアリティ技術を用いた評価システムの使用が考えられる. 本論文では, 2次元の力感覚提示システムを利用した仮想迷路抜けソフトウェアを開発し, これを上肢運動の滑らかさや巧緻性等の定量的評価に用いることについて報告している. 実験結果には再現性が見られた点, 障害者と健常者の実験結果には有意差が見られた点から, このシステムは上肢動作の評価に有効と考えられる. 一方, 健常若年者と健常高齢者の実験結果にいくつかの点で有意差が見られたことから, 障害者と健常者を比較するには, 同様な年齢群における基準データを用いる必要が確認できた.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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