人間工学
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課題提示形態の差異によるCFF値の変化に関する一考察
武田 正治
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キーワード: 視覚, 覚醒水準, 生理, 測定法
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1997 年 33 巻 6 号 p. 385-392

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抄録

CFF値の低下は, 疲労研究の分野においては肉体・精神疲労の発現や大脳中枢の覚醒レベルの低下と因果関係があるものとされてきた. しかし, 近年一部の研究者から再度, CFF値の低下は, 網膜や視神経のような視交叉前における部位の機能低下を多く反映するのではないかとの, 疑問が提示された. この点を再検討するために8名の被験者を用い, 一位加算 (クレペリン) 作業をCRT上, 紙面上, 音声の3負荷方法, 無作業を加え, 4条件で, それぞれ100分間, 10分ごとにCFF測定 (修正調整法) を行った. CFF値の低下率は, CRT上: -10.4%/10回目, 紙面上: -7.0%/9回目, 音声: -12.4%/10回目, 無作業-3.1%/11回目などの結果を得た. 音声によるクレペリン作業はCRT上や紙面上に比べて, 記憶中枢を使用した結果と考えられる. また, 無作業時の負荷とは拘束感と退屈感による大脳の覚醒レベルの低下と考えられる. これらの結果から, CFF値の低下は視覚の末梢性疲労のみでなく, 中枢性疲労の判定指標として, 測定の簡易性や判定性から有用と考えられる.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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