1993 年 29 巻 5 号 p. 321-327
視覚障害者におけるタイピングの正確度および誤りを検討することを目的として実験を実施した. 被験者は短期大学に在籍する全盲学生および弱視学生5名であった. 1回の試行で40~50の単語を提示し, 6試行行った. タイピングすべき単語に組み込まれたキーは, q, v, xを除く23のアルファベットと, \を加えた24のキーとした. 実験後, 実際にタイピングされたキーについてのデータをプリント出力し, タイピングすべきキーと比較することによって, 正確度を算出し, 誤りを抽出した. タイピングの正確度は, 最も高い被験者が99.0%, 最も低い被験者で97.9%であった. 誤りは, 置き換え, 割り込み, 脱落の3種類に大きく分類した. 最も多い誤りは置き換えであった. 割り込みと脱落については差はなかった. これらより正確なキー位置の把握の重要性を指摘した.