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Online ISSN : 2436-5858
不正競争防止法2条1項1号における「混同」と「営業上の利益」の関係性
横山 久芳
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2023 年 76 巻 29 号 p. 43-55

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抄録

 不正競争防止法2条1項1号は、周知表示の冒用行為により「混同」が生じたことを不正競争の成立要件と規定し、1号の不正競争により他の事業者の「営業上の利益」が侵害されることを差止請求及び損害賠償請求の成立要件と規定している。1号の不正競争は「混同」が認定される限り成立するが、「混同」により他の事業者の「営業上の利益」が侵害されなければ、周知表示の冒用行為は同法の規制対象とはならない。ゆえに、1号は、「混同」の防止により事業者の「営業上の利益」の保護を図り、それによって事業者間の公正な競争秩序を維持することを目的とするものと捉えられる。このように、「混同」と「営業上の利益」は密接に関係する要件であり、両要件を通じて1号の最終的な規制範囲が画されることになる。本稿は、両要件の意義と関係性に留意しつつ、両要件に関わる諸問題について具体的な検討を行うものである。

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