日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-S06-1
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シンポジウム
共用試験の公的化に対応した医学部での臨床薬理学・薬理学教育
*安西 尚彦
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抄録

臨床実習の診療参加型化を促し、卒前教育がより良い医師の育成に向け充実することにつながることを目指し、いわゆるStudent Doctorを法的に位置づける「共用試験の公的化」が、令和5年4月1日より施行された。臨床実習に参加する学生の適性と質を保証し、患者の安全とプライバシー保護 に十分配慮した上で、診療参加型臨床実習を更に促進するための基盤である医学教育モデル・コア・カリキュラムも令和4年度に改訂版が公開され、変化し続ける未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ、活躍できる医療人の養成を目指すというその意義は以前にも増して大きくなっている。上記の環境下で、臨床薬理学・薬理学が担うべき役割を今一度考えた際に、思い出されるのはGoodman & Gillman's 12th Ed, "Preface"に記載されている「医学生にとっては、薬理学的知識が、医学の実地修練に生かされない限り意味がない」の一文であり、医学部においては「薬を正しく使える医師の育成」がそれではないかと考える。そのためには「効果的で安全な薬物治療を実施できる医療人」育成という視点で、医療機関に所属する職種である医・歯・薬・看の共通薬理学教育の実現と、Robins Basic Pathology, 8th Ed "Introduction"に記載されている「病気の原因と病態形成を明らかにすることは、病気を理解するために不可欠なだけでなく、合理的な治療法を開発するための基礎でもある」の言葉の通り、薬理病理学者"Pharmaco-pathologist"の育成が究極の目標ではないかと考える。

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