日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_2-EL5-1
会議情報

教育講演
治験・臨床研究の環境変化に対応する 大学病院臨床研究センターの立場から
*稲野 彰洋
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

30年前に第1回ICH会議がブリュッセルで開催され、産官学による医薬品開発ルールの国際協調が進みました。20年前の2001年10月に第1回「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」(代表世話人 中野重行先生)が別府で開催されました。プログラムを眺めると、産官学の国内GCP対応の熱量を感じることができますし、現在も継続して取り組んでいる課題もあります。

この時のGCP対応を足掛かりにして、多くの国内医療機関は、後続の各種指針や法令、制度に合わせて変化を遂げて来ました。医学薬学研究者を要するAcademic Medical Center(AMC)は、対応できる業務に差異が顕在化してきました。2年前の報告1)では臨床研究センターなど、呼称は様々ですが、AMCの体制や実績から(1)拠点型、(2)中規模型、(3)小規模型に分類され、さらに拠点型は得られている成果から、非臨床知財系と臨床試験系という特性があるようです。

COVID19の出現は、製薬企業やバイオベンチャーが担うSponsor機能は科学的かつ熾烈な競争環境にあり、医薬品開発の基本はモノづくり(製造)であることを再認識させられました。既存医薬品のre-purposingや関連する調査研究には、Sponsor-investigatorが素早く機能することが重要でした。いずれのSponsorが主導しても国際競争を勝ち抜くことで、公衆衛生への貢献が可能となります。

国際競争の観点から、SponsorがAMCに何を求めているか?20年前、AMCが変化に対応したように、再度、方向性を確認する必要がありそうです。Sponsorに優しい試験環境は、Sponsor-investigatorにとっても良いものとなるでしょう。臨床試験の実施面だけでなく、準備や管理に関する業務についても、良き見本となると考えらます。20年前に存在していた世界の医薬品市場の日本のシャアは相対的に低下しています。治療モダリティの新規性や開発対象疾患から、AMCが直面する課題は20年前よりも大きくなってしまったのかもしれません。

1)「ポジショニング分析を用いた本邦AROの類型化」第42回日本臨床薬理学会年会

著者関連情報
© 2021 日本臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top