2009 年 2 巻 1 号 p. 18-30
過疎地域における在宅認知症高齢者に対する家族介護者の対処行動からその適切性を判断し、適切対処行動ならびに不適切対処行動に関連する要因を明らかにすることを目的とした。Troublesome Behavior Scale (TBS) の項目を用いて認知症高齢者を介護している家族で同意を得た10名に半構成的面接を行った。結果、言葉で対処、常に注意を払う、環境を工夫する、閉じ込める、言葉以外で対処する、自尊心へ配慮する、不適切に薬を用いる、の対処行動を抽出した。不適切対処行動の関連要因は副介護者がいない、経済的困難や転居、退職、職業や勉学の継続困難だった。過疎地域では介護は家計に影響を与えており、介護問題の背景に過疎地域が抱える課題が影響していると推察される。その家庭の経済的困難を解決できるための介護者の時間的保障や家庭内副介護者に代替する支援、転居や退職など生活条件の変化に対する支援の必要性が示唆された。