2024 年 20 巻 2 号 p. 14-28
本稿では、経営哲学とは何かという本源的な問いについて、本学会の『学会会則』に照らしながら考察を行った。その背景には、現実に本会則に謳われているような「生命の尊厳を最高の価値基準とした、人間性に基づいた企業経営」が行われ、「生きがいのある産業社会」が実現しているのだろうかという疑念と、そもそも、多くの経営者や研究者の間で、そうした考え方自体が薄らいでいるのではないのかという懸念がある。社会、組織、価値、利他性などについて1つ1つ検討しながら、経営者には企業存続のための利潤の追求とともに、そこで働く人たちの生きがいを創造する、生身の人間対人間の経営を実践する使命があるのではないかと問い掛けている。