日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
原著論文
子どもに心の問題が存在する可能性があると判断するときの養護教諭の視点
―フォーカス・グループ・インタビューによる小学校、中学校、高等学校の視点の抽出―
鎌塚 優子岡田 加奈子
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2010 年 5 巻 1 号 p. 40-65

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抄録

 本研究は、養護教諭が子どもに心の問題が存在する可能性があると判断するとき、その根拠としてどのような視点をもち、具体的に子どものどのような状態に着眼しているかについて、小学校、中学校、高等学校別に抽出することを目的とした。

 2007年1~7月にかけて、小学校、中学校、高等学校の養護教諭を対象とし、各学校種、2グループずつ計38名を対象にフォーカス・グループ・インタビューを行った。

 その結果、11視点あることが明らかとなった。『視点』の共通点は『視点1:日常的に捉えている子ども達・一般的な子ども達の症状・状態・行動との表れの違い』『視点6:頻繁に起こっている、または続いている同じ症状・状態・行動』『視点7:保健室への決まった来室パターン』の3視点であった。しかし、子どもの症状、状態、状況、行動、情報等について、捉えられやすい着眼点が異なり、それらは、発達段階における特有の心身の表れや単なる一過性の悩みに起因する心の問題だけでなく、発達の偏りや成長するに従って精神病理性に関連する状態を捉えていることが明らかとなった。学校種別には、それぞれの発達段階にみられる特徴等、学校種による独自の視点があった。また、集団へのアセスメントも行っていることも明らかとなった。以上の結果から養護診断開発においては、心理・発達・精神面での診断名の検討と発達段階別の診断指標が必要となることの可能性及び集団を診断する診断名、診断指標が必要であることが示された。

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© 2010 日本健康相談活動学会
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