日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
研究報告
高校生の精神健康度と「居場所」及び「居場所環境」との関連
森田 真理恵平川 俊功道上 恵美子
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2016 年 11 巻 1 号 p. 32-45

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抄録

 本研究は、高校生の(1)精神健康度、(2)「居場所」、「居場所環境」の実態の調査から、高校生の「精神健康度」と「居場所」及び「居場所環境」の関連を明らかにすることを目的とした。

 2012年10月に、首都圏内の男女共学公立高等学校の240名(1年80名、2年80名、3年80名)を対象として調査を実施した。対象とした240名に質問紙を配付し、提出された240枚の回答すべてを対象として分析を行った。結果、精神健康度は、男子と比較して女子の方が「身体症状」「不安と不眠」「抑うつ・不安」が高い傾向が見られ、高校生の精神健康度は、性差や身体機能に関係していることが示唆された。また、「居場所」の有無について、あると答えた生徒は89%であり、その中で「居場所」は「家」「自分の部屋」「学校」「部活」「教室」の順で多く、多くの生徒が「家」を「居場所」として感じていることが明らかとなった。「居場所環境」は、G群(家族がいる居場所+友だちのいる居場所)が41%、H群(家族がいる居場所+友だちのいる居場所+自分ひとりの居場所の3種類すべて)が15%、A群(居場所なし)が11%であった。「居場所環境」と精神健康度の関連では、「身体症状」以外の尺度で有意な差がみられた。「不安と不眠」「社会的活動障害」「学校享受感」でA群(居場所なし)が有意に高かった。高校生の精神健康度は「居場所環境」に影響を受けていることが示唆された。

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© 2016 日本健康相談活動学会
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