教育実践学研究
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紫外線硬化樹脂を用いたプレパラート標本封入の検討
西川 洋史
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 23 巻 p. 37-44

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抄録

マニキュアは, プレパラート標本のカバーガラスのシーリングに用いられる。しかし, その乾燥には時間がかかるだけではなく, アセトンやブチル酢酸などの有機溶剤の刺激臭があるため, 学校の授業での使用は避けたほうがよい。紫外線硬化樹脂は, 表面コーティングや接着あるいはシーリングに使用される工業用素材であるが, ネイルアートではマニキュアの代わりに利用される。この液体状の樹脂はUVA波長(315~400 nm)の照射によって数分間で硬化するため, 作業時間が短縮できるだけではなく臭気も弱い。そこで本研究ではメチレンブルー水溶液を封入したプレパラート標本を用いて, 数種類の紫外線硬化樹脂の水分の蒸発抑制能について検討した。その結果, プレパラート標本を20℃2週間でインキュベートした場合, 紫外線硬化樹脂はマニキュアよりも有意に水分蒸発を抑制した。紫外線硬化樹脂によるシーリング法はその扱いやすさと保存率の高さから, マニキュアの代替になるだろう。

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