2022 年 71 巻 1 号 p. 131-133
【要約】活動性の高い患者の転位型大腿骨頚部骨折に対する前方アプローチでの人工股関節全置換術(THA)で,術中後方脱臼傾向の出現を2例経験した.症例は69歳女性と59歳女性,アプローチはそれぞれAntero-Lateral supine approach,Direct anterior approachであった.いずれも大転子での骨性インピンジメントはなかったがトライアル時に後方脱臼傾向あり,ライナートライアルをフード付きに変更して解決した.後方への脱臼にはインピンジメントやcombined anteversionの不良など他の要因も考えうるが,後方支持組織の破綻に着目して文献的考察を含め報告する.