整形外科と災害外科
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高度弯曲を有する大腿骨骨幹部骨折に対し矯正骨切りを併用した髄内釘固定術を施行した1例
水田 康平高江洲 美香宮田 佳英仲宗根 哲西田 康太郎
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2021 年 70 巻 1 号 p. 131-136

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抄録

83歳女性.5年前に左大腿骨転子部骨折に対してGamma Nailを用いた骨接合術を行った.今回,自宅で転倒し,ネイル遠位で大腿骨骨幹部骨折を受傷した.大腿骨は高度の弯曲を認め,ロングネイルの挿入が困難であった.手術は,既存ネイルを抜去し,骨折部の外側を楔状に切除し,矯正骨切りを併用した髄内釘による骨接合術を行い,骨折部に切除骨を移植した.術後はLIPUSとPTH製剤を併用し,術後3週後より部分荷重を行った.術後3か月で骨癒合が得られ,疼痛無く杖歩行が可能となった.高齢者の大腿骨骨幹部骨折において,高度な弯曲を有する症例があり,その場合ネイル先端での皮質骨穿破の危険があるためインプラント選択に難渋する.今回,高度弯曲を有する大腿骨骨幹部骨折に対して矯正骨切りを併用した髄内釘固定術を行い,経過は良好であり,有用な方法と思われた.

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© 2021 西日本整形・災害外科学会
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