整形外科と災害外科
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大腿骨転子下非定型骨折術後偽関節に対する積極的保存療法の一例
神宮司 誠也松延 知哉泉 貞有河野 勤鬼塚 俊宏平塚 徳彦畑中 均今村 寿宏加治 浩三
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2017 年 66 巻 2 号 p. 208-211

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抄録

65歳女性.旅行先で転倒して左大腿骨転子下骨折受傷.受傷3年前より多発性骨髄腫に対してビスフォスフォネイト製剤(BP)服用.他院にてBP関連非定型骨折と診断され,同投与中止,髄内釘による骨接合術施行.術後1ヶ月頃から副甲状腺ホルモン製剤注射開始(約1年間投与).さらに術後3ヶ月頃から低出力超音波パルス(LIPUS)照射開始.術後1年経過しても骨癒合得られず,偽関節手術を検討された.セカンドオピニオンにて当科受診.単純X線写真では過剰仮骨型偽関節,骨シンチにて骨折部に強い集積像あり.LIPUS治療継続し,さらに4ヶ月一部骨癒合.さらに1年治療継続にてほぼ完全に骨癒合した.長期間BP製剤服用に関連すると言われる非定型骨折は,治癒遷延の傾向がある.PTH製剤が有効とする報告もあるが,本例はそれだけでは十分でなく,比較的長期間のLIPUS照射継続によって骨癒合にいたったと考えられた.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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