2012 年 61 巻 3 号 p. 350-354
腱板広範囲断裂に対する直視下パッチ法の適応と限界について検討した.当院でパッチ法を行った広範囲断裂12肩(男10例,女2例)を対象とした.平均年齢は71(66-79)歳で,平均観察期間は21(6-33)ヵ月であった.大腿筋膜パッチを9肩(うち小円筋移行術の併用4肩),上腕二頭筋長頭腱(LHB)パッチが3肩であった.術前後のJOAスコアを調べ成績に影響を及ぼす因子を検討した.平均JOAスコアは58.6が80.5に改善した.大腿筋膜パッチ5肩中1肩とLHBパッチ3例全例に再断裂を認めた.再断裂例および術前の肩甲下筋腱断裂例の成績が劣っていた.LHBパッチは全例再断裂しており,再考の必要がある.肩甲下筋腱断裂例や大腿筋膜パッチの大きさが5cmを越えるような場合は,小円筋移行術の併用が望ましい.