2012 年 61 巻 2 号 p. 176-178
放射線照射でごく短期間ではあるが除痛し,QOLの改善を得た高齢女性仙骨骨肉腫の1例を経験したので報告する.症例は85歳,女性.X年7月から仙骨部痛を自覚,疼痛増強し仰臥位困難となり他院で仙骨部腫瘤を指摘され,同年10月当科紹介受診した.切開生検術施行し仙骨骨肉腫と診断された.積極的な治療を希望されず,疼痛緩和目的に放射線照射(50 Gy)とオピオイド投与を開始した.照射開始後から徐々に疼痛改善し,ADLも改善.歩行器歩行も可能となった.照射後,緩和病院へ転院しADLの低下もなく経過している.原発性仙骨骨肉腫は非常に稀な疾患であり,予後不良である.仙骨骨肉腫の治療法として手術・重粒子線療法・化学療法・放射線療法が挙げられる.今回の症例から放射線療法は,仙骨骨肉腫に対し根治は困難であるが,緩和治療としては有効な手段であると考えられた.