2009 年 24 巻 p. 243-250
ジオシンセティックスは土構造物の変位抑制や作用土圧の軽減、基礎構造物の支持力増加を目的としてしばしば用いられているが、その補強メカニズムは複雑であり完全には解明されていない。本研究では、鉛直荷重を受ける垂直補強土擁壁について2次元モデル実験と数値解析を実施し、ジオシンセティックスによる補強メカニズムを基礎的な立場から検討した。補強材の配置・長さ・敷設間隔を変化させた一連の検討の結果、補強材地盤の内的安定性(補強材設置領域内の局所的安定性)と外的安定性(補強材設置領域外の周辺地盤の安定性)が共に確保されるような補強材の敷設パターンが有効であるとわかった。また、解析は実験における定性的な傾向をよく捉えていることから、地盤の応力ひずみ特性や地盤‐補強材間の摩擦特性を適切に考慮した非線形数値解析は、補強土地盤の変形・破壊挙動を予測する有効なツールとなる可能性が示された。