2006 年 21 巻 p. 187-194
2004年新潟県中越地震は,多くの盛土構造物に被害をもたらした.この地震では,台風に伴う降雨により盛土の強度低下が指摘されているため,地震と降雨の影響を考慮した被害の評価を行った.本報告では,解析による評価を行うため,被災盛土および復旧に用いた盛土材料による各種室内試験,浸透流と地震時動的応答を考慮した解析手法,ならびに浸透流解析について報告する.対象盛土はJR上越線220km300m付近および221km000m付近の鉄道盛土であり,いずれの盛土も地震によって大崩壊し,補強土壁により復旧がなされた.室内試験については,被災盛土および復旧盛土の盛土材料について,物理試験,透水試験および三軸圧縮試験を実施し,透水性や強度変形特牲を求めた.解析は,浸透流解析・動的応答解析・Newmark法による変形解析から成る。浸透流解析により,被災盛土の地震直前における含水状態を把握するとともに,復旧盛土の降雨に対する排水性の検討を行った.