2003 年 18 巻 p. 153-160
良質な盛土材である粒度調整砕石をセメント混合により改良した盛土中に敷設された補強材の引き抜き試験を行った。同じ荷重レベルでの引き抜け量は、剛性の高いグリッドの方がかなり小さく、また、土被りが約2倍異なっても、拘束圧による引き抜け量の差は小さかった。また最大で約15mm~30mmの引き抜け変位が生じたが、荷重を除荷するとそのうち1/3程度が復元した。クリープ変位量も大きかった。また、同じジオグリッドの引張試験結果を別途行い、現場の引き抜け試験結果を比較する解析を行った。これらの結果から、柔らかい高分子補強材が、ジオグリッドが比較的固いセメント改良盛土材の中で引き抜かれる場合、張力の影響範囲が載荷とともに深い部分に拡大していき、セメント改良土と補強材のすべり特性だけでなく、補強材の引張変形特性が強く反映されていることが分かった。