日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-056
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3.社会・文化
ジェンダーワークとしてのよそおい自己のトータルコーディネートと再編集
*荘島 幸子
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抄録

ヒトのよそおい行動にはジェンダーが深く染み込まれている。<男><女>らしさを演出し,ジェンダーをまとう実践をジェンダーワークと捉え,他者とのコミュニケーションの1つとして捉えなおした。出生時に指定されたジェンダーを隠し,望みの性別で生きる人々の語りから,ジェンダーワークを検討した結果,第1に,ジェンダーワークとは身体も含めた自己のトータルコーディネートであり,他者との相互作用の中で現れる社会的行動-地ならし,揺らぎ,分化する-であった。第2に,ある<ジェンダー>をもつ自己を確認,形成する側面を持ち,一生を通じて再編集を繰り返す実践であることが明らかになった。また,彼らの実践が生まれの性別のまま生きる者の実践にも通じていることを確認した。ジェンダーワークとしてのよそおいは,ジェンダーにまつわる抑圧や抵抗といった力が働く磁場において実践され,翻って<男><女>の境界線を定めたり,定めなおしており,よそおいは自己に密接に結び付くだけでなく,よそおう身体とその実践を通じて社会にも一石を投じている。

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