主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究では,人工知能など情報分野の先端科学技術に対する認知と受容に感情要因が及ぼす影響を検討した。2020年3月に15歳から64歳までの1000名に対してWEB調査を実施し,人工知能,機械学習,自動運転,仮想現実の4つの技術に対して,受容態度とそれを規定することが予想される主たる要因(リスク認知,ベネフィット認知,対象技術の性能に対する信頼感)を測定した。加えて感情要因に関しては,ポジティブ/ネガティブの感情価だけでなく,個別の感情の影響を検討するために,対象技術に対する畏怖,嫌悪,穢れ忌避感情と,日頃これらの感情を経験する個人差をそれぞれ測定した。その結果,どの技術の受容態度及び主たる要因に関しても技術に対するネガティブ感情は有意であり,技術のリスク認知を高め,ベネフィット認知と性能への信頼感を低め,受容態度に対して負の関連を示した。それに対して,技術に対する穢れ忌避感情や畏怖感情の影響や,これら感情の日常的な経験の個人差による影響は,技術の種類により異なった関連が確認された。