主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
経済的困難を抱える単身中高年男性は援助要請に消極的とされる一方,その心的メカニズムは明らかではない。そこで,生活困窮経験者への面接調査(Murayamaら2021)から構築した仮説(経済的苦境が将来展望を諦める意識(将来諦め)を高め,それにより援助要請が抑制される)を検証する。方法:東京都A区の単身者50-70代から無作為抽出した4000人に郵送調査を実施(回収率46 %)。質問紙は1)経済状況(現在/幼少期),2)将来諦め:将来展望意識尺度(村山ら2021,2因子:将来諦め/将来不安),3)援助要請の抑制態度:BHSS(Wilsonら2005,2因子:自己解決/他者不信),4)援助要請(意図):GHSQ(Addisら2005),5)個人属性で構成された。結果:男女別多母集団同時分析を行ったところ,仮説通り将来展望の諦めは男性特有の援助要請の抑制因であることが示された。具体的に,男性は経済的苦境(現在)が将来諦めと他者不信を高めることを介して援助要請を抑制するパスが有意であった。一方,女性は経済的苦境(幼少期)が自己解決と他者不信を高めることを介して援助要請を抑制するパスが有意であった。