栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
新天然色素生産菌モナスカス菌に対するモナスコルブリンの栄養生理的役割
広井 忠夫嶋 悌司鈴木 恒夫月岡 本木村 修一
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 31 巻 2 号 p. 149-154

詳細
抄録

紅こうじ菌が産生する色素の一種, モナスロルブリンが, 紅こうじ菌の一種Monascus anka UN 202-13菌に対して, どのような栄養生理的意義を有するかを検討する目的で実験を行なった。
結果として, リン酸1アンモニウム0.01mol/dl, 酸性リン酸カリウム0.1g/dl, 硫酸マグネシウム0.05g/dlおよび99.5%エタノール3ml/dlを加えた培地に, モナスコルブリンを微量添加してUN 202-13菌を培養すると, 生育および色素生産量が顕著に増加することを認めた。
0.005g/dlのモナスコルブリンを添加した場合, 無添加のおよそ3.5倍の生育を示し, 6倍の色素生産量の増加を認めた。これをグルコース10g/dlの場合と比較した場合, モナスコルブリン添加のほうが勝っていた。
0.04g/dlのモナスコルブリンを添加した場合は, 無添加に比して, 生育はおよそ6倍, 色素生産量は8倍増加し, グルコース10g/dl添加の培地との比較では, 生育ではおよそ2倍, 色素生産量では6倍増加することを認めた。
この現象は, UN 202-13菌がモナスコルブリンを単に排泄物として産生するのではなく, エタノールを有効利用するための賦活剤としての効果を有しているものと考えられ, モナスカス菌の生体内におけるなんらかの代謝に関与しているものと推察される。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top