栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
人体密度の測定方法についての研究
蜂須賀 弘久水野 勇山岡 誠一吉村 寿人
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1970 年 23 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

肥満の判定にもっとも望ましいとされている体脂肪量を推算するために, 装置が簡単でしかも測定要領が比較的容易な人体密度の測定方法を考究し, その測定精度について検討を加えた。
水中体重は組立式の水槽にバネ秤でつるした座椅子に被検者をすわらせて測定する。この場合水漕の中で肺活量計に満した純酸素を最大呼気状態から3回呼吸し, 最大呼気状態まで呼出して潜水させ, 水中体重測定時の肺残気量を窒素稀釈法 (閉鎖式) によって求める。この方法によって, 人体密度の測定を5回くり返したところ, 測定誤差 (平均値に対する標準偏差) の範囲は±0.0008 (約0.1%) と従来の報告に劣らぬ精度で求められた。
止息時間の短かい幼少年者では最大呼気状態での水中体重の測定が困難なために, 肺活量の60%を肺胞に残した中呼気状態に換算して人体密度の推算を試みた。その結果誤差の範囲は±0.0022であって, 成人の場合より大きかったが, 従来より困難視されていた幼少年の人体密度の測定方法としては満足すべき精度であると思われる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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